スタートアップ企業の大口資金調達を後押しする金融商品取引法改正が閣議決定間近

スタートアップ企業の大口資金調達を可能にする金融商品取引法の改正について詳しく説明しましょう。

スタートアップ企業の大口資金調達を可能にする金融商品取引法の改正

政府は、スタートアップ企業の資金調達を促進するため、金融商品取引法の改正を検討しています。主な内容は以下の通りです:

開示基準の引き上げ

  • 現在、1億円未満の資金調達の場合は開示が免除されていますが、この基準を引き上げる方針です。
  • 具体的には、開示が免除される基準を1億円未満から引き上げる予定です。
  • また、記載内容を一部簡素化できる基準も5億円未満から20億円未満に引き上げる方向です。

非上場企業の負担軽減

  • 資金調達時の文書開示が必要になる金額を現在の1億円から引き上げる方針です。
  • これにより、非上場企業のコストと手間を減らし、設備投資や研究開発に集中できるようにするのが狙いです。

データ標準化の推進

  • 同時に、未上場企業の証券等のデータの標準化についての民間の取り組みを進めるなど、スタートアップ企業の資金調達を支援する方策も検討されています。

今後の展望

  • これらの改正は2024年度中に行われる予定です。
  • スタートアップ企業の資金調達の円滑化と、企業の成長促進が期待されています。

さらに、スタートアップ企業の資金調達を支援するための政策として、クラウドファンディングの活用促進も注目されています。

クラウドファンディングは、インターネットを通じて不特定多数の投資家から資金を集める仕組みで、スタートアップ企業にとって有効な資金調達手段の1つです。

政府は、クラウドファンディングの活用を後押しするため、関連法制の整備や、投資家保護の強化などに取り組んでいます。

このように、スタートアップ企業の資金調達環境の改善に向けて、政府は金融商品取引法の改正やクラウドファンディングの活用促進など、様々な施策を検討・実施しています。

これらの取り組みにより、スタートアップ企業の成長が一層加速されることが期待されます。

内閣府の規制改革推進会議のワーキング・グループにおける議論

規制改革推進会議では、専門委員およびヒアリング対象者を交えて様々な議論がなされていて、ある程度の結論に達すると、閣議決定を行い、監督官庁は法案提出に動きます。

今回は、スタートアップ企業の大口資金調達の開示基準の緩和(これまで1億円の壁と言われ、スタートアップ企業の大口資金調達を阻んできた基準)が議論されているワーキンググループの議事についてご紹介します。

スタートアップ・投資ワーキング・グループ議事録

startup07_minutes.pdf (cao.go.jp)

投資家側の規制緩和

特定投資家(プロ投資家)となりうる投資家の範囲を適切に拡大するため、個人の特定投資家の要件を改正する内閣府令 が2022年7月1日より施行されました。

「特定投資家」とは、いわゆる「プロ」の投資家のことです。

個人の一般投資家で、一定の知識・経験・財産条件を満たすと、「プロ投資家成り」ができるのです。

特定投資家(プロ投資家)は企業の財務情報等の情報収集や数値分析能力、投資リスクの管理能力が高いとされているため、一般投資家よりも取引できる金融商品の範囲が広がります

2022年7月より、スタートアップ企業の資金調達手段としての利用を想定し、非上場企業の株式、新株予約権、新株予約権付社債などの投資商品も新たに投資対象の範囲となりました。

これにより、スタートアップ企業も資金調達の可能性拡大ができるというわけです。

特定投資家私募制度

001_05_00.pdf (meti.go.jp)

特定投資家私募制度について詳しく説明します。

特定投資家私募制度とは

  • 特定投資家私募制度とは、一定の要件の下で、特定投資家のみを相手方として、新たに発行される有価証券の取得の申込みの勧誘を行うことができる制度です。
  • 特定投資家とは、金融機関や大口投資家など、一定の知識と経験を有する投資家を指します。
  • この制度を活用することで、非上場企業は、一般の個人投資家ではなく、特定投資家に対して有価証券の発行を行うことができます。

特定投資家私募制度の特徴

  • 開示義務の緩和: 一般の有価証券発行と比べ、開示書類の作成や提出などの義務が緩和されます。
  • 資金調達の容易化: 特定投資家を対象とするため、一般の個人投資家を相手にする必要がなく、資金調達が容易になります。
  • 投資家保護: 特定投資家は一定の知識と経験を有するため、一般の個人投資家よりも投資家保護の必要性が低いとされています。

活用事例

  • 非上場企業であるエレファンテック社は、特定投資家私募制度を活用して約30億円の資金調達を行いました。
  • この制度を活用することで、エレファンテック社は開示コストの削減と、迅速な資金調達が可能となりました。

今後の展望

  • 政府は、スタートアップ企業の資金調達を促進するため、特定投資家私募制度の活用を推奨しています。
  • 今後、この制度の活用が広がり、非上場企業の資金調達環境が一層改善されることが期待されます。

さらに、特定投資家私募制度と並んで注目されているのが、クラウドファンディングの活用です。

クラウドファンディングは、インターネットを通じて不特定多数の投資家から資金を集める仕組みで、スタートアップ企業にとって有効な資金調達手段の1つです。

政府は、クラウドファンディングの活用を後押しするため、関連法制の整備や、投資家保護の強化などに取り組んでいます。

このように、特定投資家私募制度とクラウドファンディングは、スタートアップ企業の資金調達を支援する重要な制度となっています。

これらの取り組みにより、スタートアップ企業の成長が一層加速されることが期待されます。

特定投資家私募制度の主な条件について詳しく説明します。

特定投資家の要件

  • 金融機関(銀行、証券会社、保険会社など)
  • 資本金5億円以上の株式会社
  • 一定の知識・経験・財産状況を満たす個人投資家(以下の条件を満たす者)

純資産3億円以上

投資性のある金融資産3億円以上

取引開始後1年以上経過

有価証券発行の条件

  • 発行する有価証券は、株式、新株予約権、社債など
  • 発行価額の総額が10億円未満
  • 発行する有価証券の取得の申込みの勧誘は、特定投資家のみを相手方として行う

開示義務の緩和

  • 一般の有価証券発行と比べ、目論見書の作成や提出などの開示義務が緩和される
  • ただし、重要な事項については、発行者から特定投資家に情報提供が必要

その他の条件

  • 取扱う金融商品取引業者(証券会社など)の承認が必要
  • 発行者は、特定投資家以外への譲渡制限を設ける必要がある

つまり、特定投資家私募制度は、一定の要件を満たす特定の投資家を対象とした有価証券の発行を容易にするための制度です。

開示義務の緩和や、一般投資家ではなく特定投資家を相手にできることが大きな特徴となっています。

さらに、この制度を活用する際の留意点として、特定投資家の要件を満たすことが重要です。

個人投資家の場合、一定の知識・経験・財産状況を満たす必要があるため、事前に確認が必要です。

また、発行する有価証券の内容や、取扱う金融商品取引業者の承認状況など、様々な条件を確認する必要があります。

特定投資家私募制度を利用するメリットについて詳しく説明します。

1. 開示義務の緩和

  • 一般の有価証券発行と比べ、目論見書の作成や提出などの開示義務が緩和されます。
  • これにより、発行コストの削減や迅速な資金調達が可能になります。

2. 特定投資家のみを相手方とできる

  • 発行する有価証券の取得の申込みの勧誘を、特定投資家のみを相手方として行うことができます。
  • 一般投資家ではなく、金融機関や一定の要件を満たす個人投資家を対象とできるため、より効率的な資金調達が可能です。

3. 金融商品取引業者の承認で発行可能

  • 金融商品取引業者(証券会社など)の承認を得れば、有価証券の発行が可能になります。
  • 一般の有価証券発行と比べ、発行手続きが簡略化されます。

4. 特定投資家の範囲が広い

  • 特定投資家には、金融機関や一定の要件を満たす個人投資家が含まれます。
  • 幅広い投資家層にアプローチできるため、資金調達の選択肢が広がります。

さらに、この制度を活用する際の留意点として、特定投資家の要件を満たすことが重要です。

個人投資家の場合、一定の知識・経験・財産状況を満たす必要があるため、事前に確認が必要です。

また、発行する有価証券の内容や、取扱う金融商品取引業者の承認状況など、様々な条件を確認する必要があります。

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