2027年までに新制度(育成就労制度)への移行を目指して入管法改正案が国会を通過しようとしています。
今回の改正で、外国人材、受入企業と監理団体にどのような影響があるでしょうか。入管法改正案の概要について考察します。
入管法改正案の基本的な考え方は以下の3点です。
- 保護すべき外国人を確実に保護する
- 在留が認められない外国人は速やかに退去させる
- 退去まで適切に管理する
この改正案では、外国人労働者の受け入れ拡大を目指しています。
具体的には、技能実習制度を廃止し、新たに「育成就労制度」を設けることが盛り込まれています。
これにより、人手不足分野での外国人材の確保が期待されています。
また、永住許可の取り消しのハードルを下げる新たな規定も設けられています。
これにより、在留資格の管理が強化されることになります。
入管法改正案の主な内容
1. 保護すべき外国人の確実な保護
- 人身取引被害者や DV 被害者など、保護が必要な外国人の迅速な保護体制の整備
- 難民認定手続の適正化と迅速化
2. 在留が認められない外国人の退去
- 退去命令の発付要件の緩和
- 退去強制手続の迅速化
3. 退去までの適切な管理
- 収容期間の上限の延長
- 退去強制手続の効率化
4. 外国人労働者の受け入れ拡大と就労条件の柔軟化
- 技能実習制度の廃止と「育成就労制度」の新設(技能実習生としてすでに日本で就労している外国人材は、技能実習生として働けるが期限が来たら、新制度下での就労条件が適用される。)
- 永住許可の取り消しハードルの引き下げ
- 「育成就労」制度下では、同業種に限り、1~2年働くと転籍(転職)が可能
入管法改正案の背景
この入管法改正案は、少子高齢化や人手不足などの課題に対応するため、外国人材の受け入れ拡大を目指しています。
同時に、保護が必要な外国人の迅速な保護や、在留管理の強化にも取り組んでいます。
改正案の策定にあたっては、様々な利害関係者の意見を踏まえた上で、バランスの取れた内容となるよう検討が重ねられてきました。
今後の審議過程では、外国人の人権保護や受け入れ体制の整備など、さらなる議論が行われることが期待されています。
以上が入管法改正案の概要となります。
外国人材の橋渡しをする監理団体も監理支援機関と改称
今回の入管法改正では、外国人材受け入れ企業を指導する監理団体を「監理支援機関」と改め、外部監査人の設置を義務付ける。
これまで、外国人材と受入企業に対して適切な指導がなされないケースが多く、今回の改正では、外部の目を入れることで、独立性・中立性を確保する狙いだ。
入管法改正案のメリット
- 外国人労働者の受け入れ拡大
- 技能実習制度の廃止と「育成就労制度」の新設により、より多くの外国人労働者の受け入れが可能になります。
- これにより、人手不足分野での労働力確保が期待できます。
- 保護が必要な外国人の迅速な保護
- 人身取引被害者やDV被害者など、保護が必要な外国人の迅速な保護体制が整備されます。
- 難民認定手続の適正化と迅速化により、真の難民の保護が強化されます。
- 在留管理の強化
- 退去命令の発付要件の緩和や退去強制手続の迅速化により、在留が認められない外国人の退去が促進されます。
- 収容期間の上限延長や退去強制手続の効率化により、適切な在留管理が可能になります。
- 永住許可の取り消しハードルの引き下げ
- 永住許可の取り消しハードルが引き下げられることで、在留資格の管理が強化されます。
- これにより、不法滞在などの問題行為を抑制することができます。
- 地方の人材不足解消
- 外国人労働者の受け入れ拡大により、地方の人手不足問題の解消が期待できます。
- 地域の活性化や経済発展にも寄与することが期待されます。
以上のように、入管法改正案には外国人材の確保や在留管理の強化、保護が必要な外国人の支援など、様々なメリットが期待されています。
監理団体から監理支援機関への変更
- 監理団体の独立性・中立性の強化
- 現行の監理団体は、受入れ機関の役職員の関与が制限されます。
- 外部監査人の設置が義務化され、より独立性と中立性が求められるようになります。
- 監理支援機関への移行
- 現行の監理団体は、より中立的な「監理支援機関」に変更されます。
- 監理支援機関は、技能実習生の受入れ機関とは完全に分離された組織となります。
- 監理支援機関の役割
- 監理支援機関は、技能実習生の適正な技能習得と生活指導を行います。
- 受入れ機関への指導・監督、技能実習計画の認定、技能実習生の相談対応などを担います。
- 変更認定の必要性
- 監理団体から監理支援機関への変更には、変更認定を受ける必要があります。
- 変更事由に応じた書類の提出、手数料の納付、技能実習計画に係る指導などが求められます。
- 既存の技能実習生への対応
- 改正法施行前に技能実習生として入国した者は、施行後も現行制度に基づいて在留できます。
- ただし、在留期間更新や在留資格変更の際には、新制度に基づいて対応する必要があります。
以上のように、入管法改正により監理団体は監理支援機関に移行し、より中立的な立場で技能実習生(特定技能生・育成就労生)の管理・支援を行うことになります。
これにより、技能実習制度・特定技能制度・育成就労制度の適正化が期待されています。
これまでの技能実習制度と特定技能制度との枠組みでは、何かとトラブルが起こり、制度の変更が頻繁に行われているが、今回の改正で安定した運用が期待される。