日本では少子高齢化が進み、生産年齢人口の減少とともに、多くの企業が深刻な人手不足に直面している。

一方で、家庭の事情や地域、ライフスタイルの都合で「働きたくても働けない」「正社員では難しい」と考えてきた人たち、いわゆる“潜在人材”の存在もまた無視できない規模にある。

こうした状況の中、固定された出社やフルタイムといった働き方にとらわれずに仕事を請け負える「BPO」「在宅ワーク」の仕組みに注目が集まっている。

そのような流れのひとつを体現するのが、CTF GROUPの営業支援サービスである。だが同社が目指しているものは、単なる人手不足の一時しのぎではない。

今回は、CTF GROUP代表の山本氏に話を伺い、「眠れる人材」を経営の“血流”に変える思考と、その先にある社会の可能性を聞いた。

“仕組みで支える営業”へ CTF GROUPが生まれた理由

山本氏は、かつて大手営業支援会社にてインサイドセールスチームの立ち上げや多数の経営者への提案営業を経験。

その中で、多くの中小企業が抱えていた深刻な課題に直面したという。

あるとき、「支援を終えても営業力が自走せず、結局また代理に頼らざるを得ない」といった現実を多数見てきたことから、従来型の“営業代行モデル”ではなく、「誰がやっても成果が出せる構造=“型”をつくる」ことの必要性を強く感じた。

「営業は、企業の“血流”だと考えています。どれだけ良いサービスや想いがあっても、届け方が間違っていたり、営業の仕組みがなければ、組織は成長できません」――そう語る山本氏の言葉には、理念だけでなく現場での実感が込められていました。

この考えの下、2022年にCTF GROUPは設立されました。営業部門という“血流”を、正社員だけでなく、在宅ワーカーやフリーランスも含めたハイブリッドな体制で構築しなおす試みです。

営業マンゼロでも売上が生まれる「ZERO SALES」

CTF GROUPの主力サービスは ZERO SALES です。

営業戦略の設計から実行、アプローチ、提案、受注までを一気通貫で支援し、依頼企業が営業マンを持たなくとも“売上を生み出せる状態”を実現します。

しかも、その“実働力”としているのが、全国に広がる在宅フリーランス人材――200名以上がリモートで稼働しているといいます。

「ZERO SALES では、属人的な営業ではなく、すべてのプロセスを型化・仕組み化し、未経験でも成果が出る営業モデルです。

社員がやるべきこと/やらなくていいことを明確にし、在宅ワーカーなどのリソースを効率的に活用することで“回る体制”を作りました」と山本氏は語ります。

例えば、受注率が8%程度である場合、13件〜15件程度の商談で1件の受注が獲得できる計算となる。その13件の商談を獲得するためには、どれぐらいの数を営業すればいいのかなど、全て数字で徹底管理されている。

商談の獲得はフリーランス社員が行い、CTF GROUPの営業担当と依頼企業は商談に専念。

営業経験の有無や個人の力量に左右されない“型としての営業”が確立されているようです。

この仕組みのおかげで、営業部門を持たない、あるいは営業人材を採用・育成する余力がない中小企業でも、安定した売上獲得が可能になります。

採用担当が不在でも採用は回る ZERO RECRUITの力

営業支援だけでなく、採用支援の仕組みも整備されています。

特に、営業人材が採れない、採用担当がいない企業向けに提供される ZERO RECRUIT は、採用戦略の立案からスカウト、面接代行まで一貫サポート。

企業が採用に割くリソースをほとんど必要とせず、人材の確保が実現できる点が特徴です。

なぜなら、CTF GROUPには全国で活動する在宅ワーカーが多数所属しており、「通常の出社が難しい」「子育てや家事と両立したい」といった事情があっても働きやすいという環境が整っているからです。

実際、同社には育児や介護、ライフスタイルに応じた働き方を望む女性やフリーランスが多く在籍していると報告されています。

さらに、アサインされる人材は人事経験者となります。

「誰を採用すべきか分からない」「求人を出したが応募が来ない」など、採用における課題を解決するために最適な採用体制を構築し、中小企業の「採用難」を解決する仕組みです。

「在宅ワーカーをフル活用して、営業マンがゼロの会社でも成長できる」――この在宅ワーカー活用によるBPO型支援は、中小企業のみならず、働き手側にも新たな選択肢を提供するものです。

眠れる人材”が拓く、働き方と企業の可能性

山本氏は、フルタイム・正社員という画一的な働き方だけが価値ではないと考えているようです。

むしろ、時間や場所に制約があっても、適切な仕組みのもとであれば、誰もが能力を発揮できる――それこそが、時代が求める「役割ベースの組織」だと語ります。

実際、CTF GROUPでは在宅ワーカーに対して単なる“補助”ではなく、“成果を前提とした即戦力”としての扱いを徹底。

正社員はコアな戦略・設計に集中し、定型業務やリモート実行可能なタスクをフリーランスや在宅ワーカーに責任を持って任せることで、高い柔軟性と拡張性を両立しています。

また、同社は「人材を雇うこと=成長」という価値観に縛られず、「必要なときに必要なだけリソースを使う」ことで、コストと効率を最適化するビジネスモデルを実現しています。

これは、多くの中小企業が抱える「人件費高騰」「人材確保の難しさ」といった社会的課題に対する一つの解答なのかもしれません。

構造で企業を支える、新しい“働き方インフラ”へ

人口減少・労働力不足が進む日本において、画一的な働き方モデルだけでは限界が見え始めています。

CTF GROUPが提示する「在宅ワーカー × 構造化された営業・採用支援サービス」は、企業にとっても、働き手にとっても新しい選択肢を提供するものです。

「いい人を探す」のではなく、「いい構造をつくる」――山本氏の言葉にあるように、これからの時代は、属人的な能力や時間・場所に依存しない、“制度と仕組み”で成果を生み出す体制が重要になるでしょう。

CTF GROUPの成長やサービス拡充、そして潜在人材の社会参画が広がることで、「働き方」と「働く価値」の捉え直しが、日本の企業と社会にもたらされる可能性を感じずにはいられません。

今後、同社がどのようにこのモデルを拡大し、社会に影響を与えていくのか――引き続き注目したいと思います。

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