持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)SDGsは、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として,2015年9月の国連サミットで採択された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。
17の目標と169のターゲットから構成されており、貧困、飢餓、ジェンダー平等、気候変動、環境保護など、地球規模の課題解決を目指しています。
SDGsは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり,日本としても積極的に取り組んでいます。
17の目標
- 貧困をなくそう
- 飢餓をゼロに
- すべての人に健康と福祉を
- 質の高い教育をみんなに
- ジェンダー平等を実現しよう
- 安全な水とトイレを世界中に
- エネルギーをみんなに そしてクリーンに
- 働きがいも経済成長も
- 産業と技術革新の基盤をつくろう
- 人や国の不平等をなくそう
- 住み続けられるまちづくりを
- つくる責任 つかう責任
- 気候変動に具体的な対策を
- 海の豊かさを守ろう
- 陸の豊かさを守ろう
- 平和と公正をすべての人に
- パートナーシップで目標を達成しよう
SDGsの重要性
SDGsは、地球規模の課題解決のために、私たち一人ひとりが行動を起こすための指針です。政府、企業、市民社会が協力し、それぞれの立場から取り組むことで、持続可能な社会を実現することができます。
SDGsの現状
2024年現在、SDGsの達成に向けて一定の進展が見られる一方で、新型コロナウイルス感染症の影響やウクライナ情勢の悪化などにより、多くの課題が残されています。
SDGsへの取り組み
SDGsへの取り組みは、政府、企業、市民社会など、さまざまな主体が参加しています。
- 政府: SDGsの達成に向けた政策を策定し、取り組みを推進しています。
- 企業: SDGsの目標を経営戦略に組み込み、事業活動を通じて課題解決に取り組んでいます。
- 市民社会: SDGsに関する情報発信や啓発活動、ボランティア活動などを行っています。
SDGsへの個人の取り組み
私たち一人ひとりが、日常生活の中でできるSDGsへの取り組みはたくさんあります。
- 買い物: 環境に配慮した商品や、フェアトレード商品を選ぶ。
- エネルギー: 節電や省エネを心がける。
- 食生活: 食品ロスを減らす。
- 交通: 公共交通機関や自転車を利用する。
- 情報発信: SDGsに関する情報をSNSなどで共有する。
参考情報
- 外務省 - JAPAN SDGs Action Platform: https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/
- 国連広報センター - 持続可能な開発目標: https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/sustainable_development_goals/
その他
SDGsについて、もっと詳しく知りたい場合は、上記の参考情報をご覧ください。
また、SDGsに関するイベントやセミナーに参加したり、SDGsに取り組んでいる企業や団体に問い合わせたりするのも良いでしょう。
私たち一人ひとりの行動が、持続可能な未来を創造するために重要な役割を果たします。
日本のSDGs取り組み
日本は、SDGsの達成に向けて積極的に取り組んでいます。以下、政府、企業、市民社会の各レベルにおける具体的な取り組みを紹介します。
政府
- SDGs推進本部: 2016年に設置された、SDGsの推進に関する最高意思決定機関。
- SDGs実施指針: 2017年に閣議決定された、SDGsの達成に向けた政府全体の指針。
- SDGsアクションプラン: 2018年に策定された、各省庁の具体的な取り組みをまとめた計画。
- SDGsに関する国内閣法改正: 2020年に成立し、SDGsの推進に関する政府の役割を明確化。
- SDGs地方創生ガイド: 2021年に策定された、地方自治体におけるSDGsの推進に関するガイドライン。
企業
- SDGs経営: SDGsの目標を経営戦略に組み込み、事業活動を通じて課題解決に取り組む企業が増加。
- SDGs宣言: SDGsへの取り組みを表明する企業が増加。
- SDGs関連商品・サービスの開発: 環境配慮型商品や、社会課題解決に貢献するサービスの開発が活発化。
- SDGsに関する情報開示: 企業のSDGsへの取り組み状況を透明化するための情報開示が進展。
市民社会
- SDGsに関する情報発信・啓発活動: NPOや市民団体によるSDGsに関する情報発信や啓発活動が活発化。
- SDGsイベント・セミナー: SDGsに関するイベントやセミナーが全国各地で開催。
- SDGsボランティア活動: SDGsの目標達成に貢献するボランティア活動への参加者が増加。
- 消費者行動の変化: 環境や社会に配慮した商品を購入する消費者意識の高まり。
日本の取り組みの成果
- 国際的な評価: 2023年のSDGs達成指数ランキングで日本は18位 (169カ国中)。
- SDGsに関する意識: 2023年、SDGsを知っている人の割合は88.4% (2017年: 58.6%)。
- SDGsに関する取り組み: 2023年、SDGsに取り組んでいる企業の割合は71.4% (2017年: 35.0%)。
課題
- 新型コロナウイルス感染症の影響: SDGsの達成に向けた取り組みが停滞する可能性。
- ウクライナ情勢の悪化: 食料安全保障やエネルギー問題など、SDGsの達成に向けた新たな課題が生じている。
- 地方格差: SDGsへの取り組みの進展に地域間で差がある。
- ジェンダーギャップ: 男女間における格差が依然として大きい。
今後の展望
- 政府: SDGs推進本部を強化し、各省庁の連携を深化。
- 企業: SDGs経営をさらに推進し、サステナブルな事業活動を展開。
- 市民社会: SDGsに関する情報発信・啓発活動やボランティア活動の更なる活性化。
- 多様な主体による協働: 政府、企業、市民社会が連携し、SDGsの達成に向けた取り組みを加速化。
SDGSが経営に与える影響について考えてみました
SDGsが経営に与える影響
SDGsは、企業経営に大きな影響を与えます。以下、具体的な影響について説明します。
1. 市場機会の拡大
SDGsは、新たな市場の創出や既存市場の拡大につながります。例えば、環境問題への意識の高まりは、環境配慮型商品やサービスへの需要増加に繋がります。また、社会課題への取り組みは、新たな顧客層の獲得や、企業ブランドの向上に貢献します。
2. リスクの低減
SDGsへの取り組みは、企業が直面するリスクを低減する効果があります。例えば、気候変動対策への投資は、将来的に発生する気候変動リスクを低減することができます。また、サプライチェーンにおける人権侵害や環境破壊への対策は、企業の評判リスクを低減することができます。
3. 投資家や顧客からの評価向上
SDGsへの取り組みは、投資家や顧客からの評価向上につながります。近年、ESG投資が拡大しており、SDGsへの取り組みは、投資家にとって企業の持続可能性を判断する重要な指標となっています。また、顧客もSDGsへの意識が高まっており、SDGsに取り組む企業の商品やサービスを積極的に購入する傾向があります。
4. イノベーションの促進
SDGsへの取り組みは、企業のイノベーションを促進します。SDGsの目標達成には、従来の枠を超えた新たな技術やビジネスモデルが必要となります。SDGsへの取り組みを通じて、企業は新たなイノベーションを起こす可能性を高めることができます。
5. 従業員のモチベーション向上
SDGsへの取り組みは、従業員のモチベーション向上に繋がります。SDGsは、社会貢献や地球環境保全といった、普遍的な価値に基づいた目標です。従業員は、SDGsへの取り組みを通じて、自身の仕事が社会に貢献していることを実感し、モチベーションを高めることができます。
6. 経営の持続可能性向上
SDGsへの取り組みは、経営の持続可能性向上に貢献します。SDGsは、短期的な利益追求ではなく、長期的な視点に立った経営を要求します。SDGsへの取り組みを通じて、企業は長期的な視点に立った経営戦略を策定し、持続的な成長を実現することができます。
7. 企業価値の向上
SDGsへの取り組みは、企業価値の向上に貢献します。SDGsへの取り組みは、市場機会の拡大、リスクの低減、投資家や顧客からの評価向上、従業員のモチベーション向上、経営の持続可能性向上など、様々な効果をもたらします。これらの効果は、企業価値の向上につながります。
8. 企業間の競争激化
SDGsへの取り組みは、企業間の競争を激化させます。SDGsへの取り組みが進む中、SDGsへの取り組みが遅れている企業は、競争力を失う可能性があります。
9. 経営資源の制約
SDGsへの取り組みには、人材、資金、時間などの経営資源が必要となります。これらの資源が限られている企業にとって、SDGsへの取り組みは負担となる可能性があります。
10. 規制強化
SDGsの達成に向け、環境規制や労働規制などの規制が強化される可能性があります。これらの規制強化は、企業の経営コスト増加につながる可能性があります。
11. 情報開示の増加
SDGsへの取り組み状況に関する情報開示が求められるようになります。情報開示の増加は、企業にとって負担となる可能性があります。
12. 国際的な競争
SDGsは、世界共通の目標です。企業は、国内だけでなく、国際的な競争に晒されます。
13. 政府との連携
SDGsの達成には、政府との連携が重要となります。企業は、政府の政策や施策を理解し、積極的に連携する必要があります。
14. 課題の克服
SDGsへの取り組みには、様々な課題があります。企業は、これらの課題を克服するために、積極的に取り組む必要があります。
15. 長期的な視点
SDGsは、2030年までの達成を目指していますが、多くの課題は長期的な取り組みが必要です。企業は、長期的な視点に立って、SDGsへの取り組みを継続する必要があります。
「SDGs経営ガイド」を取りまとめました (METI/経済産業省) (ndl.go.jp)
SDGSに関連するESG投資の呼び込み
今や世界中の企業がSDGsを経営の中に取り込むことでESG投資を呼び込もうと力を注いでおり、日本においても、SDGsと経営を結び付けることで企業価値を高めるべく先鋭的な取組を進めている大企業・ベンチャー企業も多くみられます。
ESG投資は、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の観点から企業を選定する投資手法です。従来の財務情報に加え、ESG情報も考慮することで、より持続可能で長期的な成長が見込める企業への投資を目指します。
近年、ESG投資は世界的に注目を集めており、その市場規模は年々拡大しています。2023年には、世界のESG投資残高は約40兆ドルに達すると推計されています。
ESG投資のメリット
- 長期的な収益向上: ESG評価の高い企業は、財務的に健全で、持続的な成長が見込める傾向があります。
- リスクの低減: ESG評価の高い企業は、環境問題や社会問題によるリスクが低い傾向があります。
- 社会貢献: ESG投資は、環境問題や社会問題の解決に貢献することができます。
ESG投資の呼び込み方法
- ESG投資に関する情報発信: ESG投資のメリットや具体的な投資方法などに関する情報を積極的に発信しましょう。
- ESG評価の高い企業への投資: ESG評価の高い企業への投資を積極的に行うことで、ESG投資の運用実績を積み上げることができます。
- ESG投資に関するイベントやセミナーの開催: ESG投資に関するイベントやセミナーを開催することで、投資家への理解を深めることができます。
- ESG投資に関する専門家チームの育成: ESG投資に関する専門家チームを育成することで、投資家へのより高度なアドバイスを提供することができます。
- 顧客との対話: 顧客のニーズに合わせたESG投資商品やサービスを提供するために、顧客との対話を重ねましょう。
ESG投資の課題
- 情報不足: ESG情報は、財務情報に比べて開示が進んでいないため、投資家にとって情報収集が難しいという課題があります。
- 評価基準の統一: ESG評価の基準は、機関によって異なるため、投資家にとって比較が難しいという課題があります。
- グリーンウォッシュ: ESG評価を実際よりも高く見せかける「グリーンウォッシュ」の問題があります。
ESG投資の将来展望
ESG投資は、今後も市場規模が拡大していくと予想されます。投資家や企業がESG投資への関心を高め、情報不足や評価基準の統一などの課題を克服していくことが重要です。