株式会社TimeTreeは、国内累計3000万超のユーザーデータに基づき、2025年を象徴する予定トレンドを表彰するアワード「TimeTree Schedule of the Year 2025」を発表した。

第1回となる今回、年間大賞「Schedule of the Year」には「万博」が輝いた一方で、特に注目すべきは、次なるブームの萌芽を示す「ネクストトレンド部門」の動向だ。

同部門で選出された5つのワードの中でも、若年層の行動様式を強く反映し、市場へのインパクトが期待されるのが「自然界隈」である。

10代・20代で爆発的に伸長する「自然界隈」の予定登録

「自然界隈」とは、自然が好きな人々が緩やかにつながり、自然を楽しむ様子をSNSに投稿して共有する、若年層を中心とした新しいライフスタイルやコミュニティの総称であり、特に10代、20代という次世代の消費者層において圧倒的な伸びを見せている。

「Schedule of the Year 2025」の集計条件は「2025年の1日あたりの平均登録数が2024年の2倍以上ある予定タイトル」であり、この急激な伸びを若年層が牽引している事実は、「自然界隈」が単なる一時的なブームではなく、価値観の変化に根ざしたムーブメントであることを示唆している。

「自然界隈」の予定増加に伴い、都心近郊で自然を楽しめる「上高地」「深大寺」「秋川渓谷」といった具体的地名の予定数も増加している。

これは、抽象的な概念だけでなく、具体的な「自然体験」への消費行動が伴っている証拠であり、旅行・観光、アウトドア、レジャーといった関連市場への波及効果も見込める状況だ。

なぜ「自然界隈」がZ世代に人気なのか

TimeTreeのデータで示された「自然界隈」の予定登録急増の背景には、デジタルネイティブ世代特有の心理と、賢い消費志向が組み合わさっている。

1.デジタル疲労からの「戦略的デトックス」需要

Z世代は、SNS上の膨大な情報や複雑な人間関係に常に晒されており、デジタル疲労を蓄積させている。このような層にとって、自然体験は、日常の情報から意図的に距離を置く行為に他ならない。

高額なスパや旅行と違い、自然の中で一息入れる行為は、精神的なウェルビーイングに対する最も費用対効果の高い投資であり、現代生活における欠かせない「リセット機能」となっている。

2.コスパとタイパを両立する「賢い非日常」

金銭的に余裕が限られるZ世代にとって、高額なテーマパークや海外旅行は頻繁に選べる選択肢ではない。

その点、都心近郊の自然スポットで時間を過ごすことは、非常に費用対効果(コスパ)の高い行動となる。

さらに、TimeTreeのデータが示すように、「上高地」だけでなく「深大寺」「秋川渓谷」といった都心からアクセスの良い場所の予定が増加している。

これは、短時間で移動できる時間対効果(タイパ)の高さが、このトレンドを牽引していることも意味する。

3.「エモさ」と「リアル」を追求する新たな自己表現

従来のカフェや人工的な場所での「映え」写真が飽和しつつある現代において、Z世代は差別化を求めている。

自然の中で得られる素朴で情緒的な体験は、「エモい」として共感を呼び、「無理をしていない、自然体な自分」という自己表現へと繋がる。

これは、彼らが自己肯定感を満たすための重要なSNS戦略であり、「#自然界隈」は、その価値観を共有するコミュニティへの帰属意識を高めるツールとして機能している。

新時代の消費軸は「自然」と「ウェルビーイング」にある

Screenshot

TimeTreeの予定データは、ユーザーが未来の行動を登録する「未来の行動ログ」である。

このデータから浮き彫りになったのは、若年層が「具体的な体験」と「精神的な充足」に時間とお金を投下し始めている現実だ。

特に「自然界隈」の台頭は、地方創生、サステナビリティ、観光DXといったマクロなテーマに対し、若年層の具体的な行動からアプローチする新たなビジネス機会が到来したことを示している。

企業は、この動きを一過性のブームとして見過ごしてはならない。

これは、Z世代の「精神的な充足」への要求と、「タイパ・コスパ」へのシビアな視点が融合した結果である。

企業は、彼らの「非日常体験」への欲求と「緩やかな繋がり」という価値観を理解し、製品・サービス開発に活かすべきである。

ネクストトレンド部門では、唯一ビジネス関連ワードとして「aiセミナー」が選出されたものの、若年層の消費行動においては、スポーツ、美容、そして「自然界隈」のような軽やかでパーソナルな体験が主役となっている。

この事実こそが、2026年以降の市場を予測する上で、最も重要なデータであると言えるだろう。

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