AI導入の事例は多くありますので、業界別にご紹介していこうと記事にしました。
金融・銀行業界で生成AI導入が労働時間を大幅に削減した理由は主に以下のようにまとめられます。

AI導入による定型業務の自動化で業務効率化
生成AIは稟議書作成、書類・文書ドラフト作成、データ入力、社内文書の要約、帳票処理、FAQ自動回答などの単純かつ反復的な定型業務を高速かつ正確に自動化します。
これにより従業員はこれまで時間を割いていた作業から解放され、より付加価値の高い顧客対応やコンサルティング、分析業務に専念できるようになります。
このシフトが大幅な労働時間削減につながっています。
大規模導入とAI専門人材による最適化
例えば、三菱UFJ銀行では約4万人を対象に生成AIを導入し、稟議書ドラフトや社内文書の作成に活用して月間22万時間(年間264万時間)もの労働時間削減を試算しています。
この成果の裏には600億円の投資と300人の専門人材育成という大規模体制があり、業務へ最適にAIを適用したことで高い効果を生み出しました。
生成AIの作業スピードと質の向上
生成AIの圧倒的なスピードと正確さにより、これまで時間のかかっていた作業が格段に短縮されるとともに、人的ミスの削減や標準化も進みました。
結果として、労働時間の減少だけでなく業務品質の向上も同時に実現しています。
結果としての人的リソースの戦略的シフト
生成AI導入で削減された時間は、顧客サービスや新規事業開発、人材育成といった戦略的かつ高度な業務に充てられ、銀行の競争力強化や顧客体験の向上にも寄与しています。
以上のように、生成AIは膨大な定型作業を効率化し、大規模かつ戦略的な導入・運用により労働時間の大幅削減を実現。
加えて、業務品質や顧客サービス向上も促進しているため、金融・銀行業界で特に評価されています。具体的な削減実績としては三菱UFJ銀行の月22万時間削減などが代表的ケースです。
三菱UFJ銀行のAI導入とコストダウンの取組み
三菱UFJ銀行が月22万時間の労働時間削減を算出した主要業務項目は以下の通りです。
- 稟議書作成
- 社内文書ドラフト作成
- 提案書作成
これらの業務において、膨大な量の書類や文書の自動生成・ドラフト作成を生成AIが支援し、人的ミス削減と業務の標準化を推進することで大幅な時間削減を実現しています。
特に稟議書作成は、新規事業の企画立案から最終承認まで多くの手間がかかっていた部分で、AIが文書記述や修正作業を効率化しました。
これにより、数万件規模の文書を月に自動生成し、時間削減に大きく寄与しています。
三菱UFJ銀行が生成AI導入により削減見込みとした具体的な業務一覧
三菱UFJ銀行が生成AI導入により削減見込みとした具体的な業務一覧には以下のようなものが含まれます。
- 稟議書のドラフト作成や修正
- 社内文書の作成全般(報告書、提案書など)
- 帳票類の作成・処理業務
- データ入力などの単純反復作業
- FAQ対応や問い合わせ対応の自動化
- その他、書類関連の事務作業全般
これらは特に時間と手間がかかり、AIの自動生成能力で大幅な効率化とミス削減が期待される分野です。
具体的には、社内承認関連の文書作成が中心になり、多数の書類を迅速に生成・校正することにより多くの時間削減効果が見込まれています。
三菱UFJ銀行が見積もった労働時間削減割合とは
三菱UFJ銀行が社内文書ドラフトや報告書での労働時間削減割合を算出した方法は、主に以下のプロセスに基づいています。
- 従来の手作業による文書作成にかかっていた時間を計測(例:1件あたりにかかる時間)
- 生成AIによる文書生成やドラフト作成にかかる時間を試算(例:1件あたり10分程度など高速化効果)
- AI導入前後で想定される作業時間の差分を算出し、削減時間を割合として表現
- これを各種文書作成件数に掛け合わせて月間および年間の総削減時間を推計
具体的には、例えば1件あたり1~2時間かかっていた文書作成が生成AI活用により約10分に短縮できる場合、最大で約90%以上の時間削減効果を見込んだうえで、全体の文書作成数から総労働時間削減量を割り出しています。
これにより、実際に業務データや利用件数を基にした高精度な時間削減割合が算出されているのが特徴です。
生成AIで稟議書や文書作成が具体的に短縮されたポイント
生成AIで稟議書や文書作成が具体的に短縮されたポイントは以下の通りです。
- 生成AIは過去の稟議書や社内データベースから必要情報を自動収集・整理し、文書のドラフトを数分で自動生成。従来、稟議書作成に2〜3時間かかっていたプロセスを15〜20分に短縮した例もあります。例えば宮崎銀行では、従来40分かかっていた融資稟議書作成がわずか2〜3分に短縮され、95%の時間削減を達成しました。
- 生成AIはフォーマットや規定を正確に守り、誤字脱字や情報漏れを防ぐため、文書の品質が向上するとともに再作成・修正の時間も大幅に減少しました。
- AIが文書の構成や説得力のある表現を自動で提案し、担当者は最終チェックと微調整に専念できるため、業務負担が軽減されました。
- RAG(検索拡張生成)技術を用いて、社内規定や過去の類似事例など信頼できる情報をリアルタイムに参照しながらドラフトを作成するため、信頼性の高い文書作成が可能となっています。
結果として、大量の稟議書や報告書などの社内文書業務が効率化され、劇的な時間短縮と業務品質向上が実現しています。

ビジネスeye
三菱UFJ銀行の事例を紹介しましたが、AI導入のコストは3年間で約600億だったと言われています。
では、中小企業であれば、どの業務がどの程度のコスト感を持てばいいでしょうか。
AI導入コンサルティングの費用は、かなり幅があります。
大まかな見積では次のようなレンジになります。
- 初期診断・戦略立案フェーズ:数十万円〜数百万円
(課題ヒアリング、業務分析、PoCの設計など) - PoC(概念実証)フェーズ:100〜500万円程度
(小規模でAIを試験導入して効果を検証する段階) - 本格導入・開発フェーズ:数百万円〜数千万円以上
(社内システムとの連携、データ基盤の整備、運用体制構築まで含む) - 継続的な運用支援・コンサル:月額50〜200万円前後
(チューニングやアップデート、従業員トレーニングなど)
企業規模や導入するAIの種類(生成AIか、画像認識か、レコメンドシステムか)によって桁が変わるのが特徴です。
例えば、中小企業がチャットボット導入を考える場合は比較的安価に済みますが、大手企業が業務全体をDX化する場合は億単位になることもあります。
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