ベンチャーデットとは
ベンチャーデットとは、ベンチャー企業向けの融資の一種で、借入と資本性調達の要素を組み合わせたハイブリッドな資金調達手段です。
具体的には、融資と同時に、将来株式を取得する権利(ワラント)を投資家に付与するのが特徴です。
ベンチャーデットの特徴
VENTURE DEBT(ベンチャーデット)とは転換社債や新株予約権付融資等、エクイティとデット両方の性格を持った金融商品の総称で、ベンチャーキャピタルのエクイティ投資と銀行融資の間を埋める資金提供という性質があります。
また、保有株式シェアの希薄化を防ぎつつも、成長資金を確保したい、というベンチャー企業ならではのニーズに応える商品設計にもなっています。
- 借入と資本性調達の要素を組み合わせている
- 融資と同時に、将来株式を取得する権利(ワラント)を投資家に付与する
- 返済義務がある
- 利息が発生する
- ワラント行使によって、投資家は株式を取得し、企業の成長益を享受できる
ベンチャーデットのメリット
ベンチャーデットには、以下のようなメリットがあります。
- 資本金を減少させずに資金調達できる
- 財務状況が悪くても調達できる可能性がある
- 比較的短期間で調達できる
- 投資家から経営アドバイスを受けられる
ベンチャーデットのデメリット
ベンチャーデットには、以下のようなデメリットがあります。
- ワラント行使によって、投資家が企業の所有権を獲得する可能性がある
- 利息の支払い負担がある
- 返済義務がある
ベンチャーデットの活用シーン
ベンチャーデットは、以下のようなシーンで活用されます。
- 事業拡大のための資金調達
- M&Aのための資金調達
- 経営改善のための資金調達
- 一時的な資金繰りの悪化への対応
ベンチャーデットの注意点
ベンチャーデットを利用する際には、以下のような点に注意する必要があります。
- ワラントの条件を慎重に検討する
- 利息の支払い負担を考慮する
- 返済義務を確実に履行できる
ベンチャーデットは、ベンチャー企業にとって、有効な資金調達手段の一つです。
メリットとデメリットをよく理解した上で、活用を検討することが重要です。
ベンチャーデットはどんな企業が利用するのか
国内のIPOを志向する、成長が期待されるベンチャー企業、エクイティとデットの両方の性格を理解し最適な調達を目指すベンチャー企業などが想定されます。
ベンチャーデットが利用できる企業とは
ベンチャーデットで資金を利用できるのは、ミドル(有望であればアーリーステージ)からレイターステージの市場規模が大きく、売上額が大きい企業であるのが現実です。
ベンチャーデットを利用できる企業の特徴は以下の通りです。
- ファン層の取り込みが見込まれる企業: ベンチャーデットは、企業のブランド力やファン層の拡大に寄与するため、ファン層の取り込みが期待できる企業に適しています。
- 将来性やポテンシャルが高い企業: ベンチャーデットの評価では、企業の将来性やポテンシャルが重要な要素となります。成長性の高い企業が有利です。
- キャッシュフローが安定している企業: ベンチャーデットは返済が必要な資金調達手段のため、一定のキャッシュフローが確保できる企業が適しています。
- 経営陣の経験・実績が豊富な企業: ベンチャーデットの提供者は、経営陣の経験や実績を重視して審査を行います。実績のある経営陣が望ましいです。
- ベンチャーキャピタルや投資家から出資を受けている企業: ベンチャーデットを提供する事業者は、ベンチャーキャピタルや投資家から出資を受けている企業を好む傾向にあります。
ビジネスeye
ミドル〜レイターフェーズのスタートアップで、ファン層の拡大が見込め、将来性とキャッシュフローが安定し、経営陣の実績が豊富な企業がベンチャーデットの利用に適しているといえます。
また、ベンチャーデットの先進国である米国には、シリコンバレー銀行やLendingClubなどのサービス提供事業者が数多く存在しています。
日本でも、Flex Capitalなどの事業者が登場しつつあります。
また、ベンチャーデットを活用して成長スタートアップ企業からメガベンチャーになったのは、UberやAir bnbなどがあります。
日本では、まだ成功事例はそれほど多くありませんが、これからスタートアップ企業が増えてくるにつれてベンチャーデットを活用したメガベンチャーが生まれてくると期待しましょう。