「渡来人」と呼ばれる古代の人々は、本当に技術者や知識人の集団だったのか。
DNA解析が進歩したことで、判明した事実を認識し、これまでの定説とされてきたものを見直さなくてはいけない。
縄文・弥生時代を経て大和政権に至るまでの日本人と日本文化を考えるうえで知っておくべき新事実が明らかになっています。
新事実は、何を現代の日本人に示すのか。我々のルーツを探る旅に出てみませんか。
書籍『渡来人とは何者か』 2024年11月22日発売
株式会社河出書房新社(東京都新宿区/代表取締役 小野寺優)は、日本の古代史を、渡来人を切り口に再検証する『渡来人とは何者か』(武光誠著)を2024年11月22日に発売しました。
東漢(やまとのあや)氏、秦(はた)氏をはじめ、多くの「渡来人」が、高度な知識や技術といった先進の大陸文化を日本にもたらし、ヤマト政権で活躍したとされている古墳時代。
しかし最新の科学的研究では、古墳時代に日本に住む人びとのうち、何と「25%」もの人びとが朝鮮半島を経由してやってきた移住者であったことが明らかになりました。
このことは、はたして何を意味するのでしょうか?
縄文時代から移住者が日本に来ていた
また、縄文時代、すでに多数の移住者が日本にやってきており、大きな衝突もなく「日本人」が形成されていました。
そしてヤマト政権が確立される古墳時代にも大きな移住の波があり、その大半は平凡な農民などで、日本社会に吸収されていきました。
こうした歴史をふまえると、従来、歴史教科書で学んだ「渡来人」をとりまくイメージは一変してしまいます。
本書は、「渡来人」を軸に日本と大陸の関係をていねいにひもときながら、『日本書紀』などに記された伝説的要素と史実を可能なかぎり分け、従来「渡来人」と呼ばれた人びとや「渡来系」を自称する豪族の素性、渡来時期、ヤマト政権での足跡を明らかにしていきます。
実像と虚像がないまぜになった「渡来人」をめぐる古代史の輪郭を、はっきりと浮き彫りにしていきます。
著者の武光誠氏は、「神道」「仏教」「日本神話」「陰陽道」など、現代の日本人の精神に深くかかわる思想や信仰を、わかりやすく解説することで定評があり、数多くの本を世に送り出してきました。本書では、「渡来人」の科学的新事実から、その後の足取りをつぶさに追っていくことで、日本人と「渡来人」が日本文化に与えた影響を捉えなおします。
■本文より
■目次より
序章 古墳時代に日本列島に渡った膨大な数の移住者とは
DNA解析が覆した「渡来人」の定説
日本人のルーツと「渡来人」の関係
縄文人とその文化は日本のルーツなのか?
移住者を受け入れた縄文人の実像
第一章 渡来系豪族を「渡来人」と総称すれば、歴史を見誤る
「渡来人」は、戦後の古代史研究者がつくった言葉
「渡来人」と総称するのがふさわしくないわけ
渡来人の捉え方は、研究者によってまちまち
第二章 「渡来人」の時代以前の中国、朝鮮半島、日本
激動の朝鮮半島史が日本列島への移住者を生んだ
「渡来人」は異民族でなく、日本人に近い人びとだったか
現在の日本文化は、縄文文化のうえにつくられた
弥生文化は江南から韓や倭に伝わった
四〇〇年も中国の植民地だった朝鮮半島北・中部
中国の植民地・楽浪郡から先進文化を学んだ日本
大量の騎馬民族の南下が、百済と新羅の建国をもたらした
第三章 四世紀に、ヤマト政権と加耶の交流が始まった
韓の文化を長く受け継いだ加耶の小国群
四世紀にヤマト政権と加耶の貿易が始まる
加耶を勢力圏にしたヤマト政権
四世紀末に日本と百済の交流が始まった
五世紀の日本の渡来系技術
高句麗と百済の対立に、日本はどう関わったか
五世紀末、高句麗が日本より優位に立つ
百済、新羅の圧力を受け、日本に移住した加耶の豪族
第四章 東漢氏と結んだ蘇我氏はいかに勢力を拡大したか
あまりに不確実な、古代豪族の系譜
東漢氏は、いつ、どこから渡来したか
奈良盆地の後進地「飛鳥」を開発した東漢氏
蘇我氏、渡来系の技術者を組み込んで勢力を拡大する
東漢氏は、なぜ急速な発展をとげられたか
六世紀なかばの欽明朝で、急成長する蘇我氏
中大兄皇子による入鹿暗殺と蘇我氏の没落
壬申の乱で大海人皇子に従い、ヤマト政権に返り咲いた東漢氏
東漢氏、ヤマト政権を去って地方の一郡司へ
第五章 聖徳太子と天智天皇に仕え、東漢氏を超えようとした秦氏
秦氏は、いつ、どこから渡来したか
「山城・近江」という後進地に勢力を誇った秦氏
秦氏、聖徳太子に接近する
外交に、仏教興隆にと活躍を見せた秦河勝
秦氏、東漢氏に取って代わろうとする
壬申の乱後、秦氏はなぜ中央政界から姿を消したか
長岡京、平安京の建設に深くかかわった秦氏
第六章 船氏、西文氏、鞍作氏…独自の動きをとる渡来系豪族
漢字に強く、外交に欠かせなかった史系の豪族
実務官僚として活躍した船氏一族
船氏を組み込み、河内飛鳥に勢力を張った西文氏
蘇我氏、聖徳太子の仏教興隆を支えた鞍作氏
七世紀末、百済滅亡により移住してきた人たち
東国に移住した高句麗人と高麗神社
終章 早くから日本に同化した「渡来人」の栄枯盛衰
渡来系豪族を、他の豪族と等しく扱ったヤマト政権
「渡来系の優位」はいかにして崩れていったか
渡来系豪族から文人貴族の時代へ
新羅の統一で途絶えた、日本と朝鮮半島の交流
■著者紹介
武光誠(たけみつ・まこと)
1950年、山口県生まれ。東京大学文学部国史学科卒業。同大学院博士課程修了。文学博士。2019年3月に明治学院大学教授を定年で退職。専攻は日本古代史、歴史哲学。比較文化的視点を用いた幅広い観点から日本の思想文化の研究に取り組む一方、飽くなき探究心で広範な分野にわたる執筆活動を展開している。著書は『古代史入門事典』(東京堂出版)、『ヤマト政権と朝鮮半島 謎の古代外交史』『一冊でわかる神道と日本神話』(小社刊)など多数。
■書誌情報
書名:渡来人とは何者か
著者:武光 誠
仕様:46判/並製/232ページ
発売⽇:2024年11⽉22日
税込定価:1870円(本体1700円)
ISBN:978-4-309-22947-8
装丁:大野恵美子(studio maple)
出版社:河出書房新社
※本書は2016年に刊行された『渡来人とは何者だったか』を改題し、加筆したものです。
ビジネスeye
DNA研究が進歩したことで、これまで教科書などで説明されてきた定説らしきものが、覆ってきています。
学生時代に何となく習ったことのアップデートが必要な状況です。
長い歴史を持つ日本人のルーツについて考えてみても良いのではないでしょうか。
出版元の河出書房新社のご紹介
河出書房新社は、1886年に成美堂出版の東京支店として設立された老舗の大手出版社です。以下に河出書房新社の主な特徴をまとめます。
会社概要
- 正式名称:株式会社河出書房新社
- 本社所在地:東京都渋谷区千駄ヶ谷(2024年5月7日より新宿区東五軒町に移転予定)
- 設立:1957年5月2日
出版の特徴
- 小説や雑誌を中心に取り扱う
- 「深堀った作品」が多く、玄人向けの小説が特徴
- 複数のレーベルを展開:
- 河出文庫:玄人向きの小説を多く出版
- 河出ブックス:受賞作品を多数輩出[1]
主な出版物
- 代表作:「サラダ記念日」「おらおらでひとりいぐも」「蹴りたい背中」「野ブタ。をプロデュース」など
- 雑誌「文藝」(1944年創刊)
- 河出新書シリーズ
その他の特徴
- 独自の文藝賞を主催し、若手新人小説作家の登竜門として知られる
- 小説以外にも、芸能関係者のエッセイや歴史系の出版物も取り扱う
- 自費出版も受け付けている
河出書房新社は、質の高い文学作品や深い洞察を提供する出版物で知られ、日本の出版界で重要な位置を占めています。