2025年第1四半期の日産自動車の連結業績は、衝撃の内容です、営業利益が前年同月比で99.2%も減少しました。かなりの減少率です。辛うじて営業黒字を保ったという結果となりました。

なぜ、ここまで営業利益を減らしているのか、見ていきたいと思います。

日産自動車の2025年3月期第1四半期決算の主なポイントは以下の通りです:

業績概要

  • 売上高は2兆9,984億円で、前年同期比2.8%増加しました。
  • 営業利益は10億円で、前年同期比99.2%減少しました。
  • 経常利益は651億円で、前年同期比60.9%減少しました。
  • 親会社株主に帰属する四半期純利益は286億円で、前年同期比72.9%減少しました。

要因分析

売上高増加の要因
グローバル全体需要が3.8%増加したことが背景にあります。

利益減少の主な要因
競争激化に伴う販売費用の増加が大きく影響しています。

財務状況

  • 総資産は20兆1,730億円。
  • 純資産は6兆5,890億円。
  • 自己資本比率は30%。

キャッシュフロー状況

  • 営業活動によるキャッシュフローは2,536億円の支出。
  • 投資活動によるキャッシュフローは2,101億円の支出。
  • 財務活動によるキャッシュフローは705億円の支出。

自動車事業のフリーキャッシュフローは3,028億円のマイナスとなりました。

通期業績予想

  • 売上高: 14兆円 (前期比10.4%増)
  • 営業利益: 5,000億円 (前期比12.1%減)
  • 親会社株主に帰属する当期純利益: 3,000億円 (前期比29.7%減)

この四半期決算では、売上高は増加したものの、競争激化による販売費用の増加が利益を圧迫し、大幅な減益となりました。

2023年度第1四半期と比較した営業利益の増減分析

為替変動は237億円の増益要因となり、米ドル高と複数の通貨に対する円安がプラスとなりました。

原材料価格も139億円の増益要因となりました。

一方、販売パフォーマンスは1,104億円の減益要因となり、米国と中国を中心に競争の激化 と販売費用の増加が影響しています。

モノづくりコストは効率的な管理が功を奏し、全般的にコストが上昇する中、前年並みに 抑えました。

インフレ影響は271億円の減益要因となりました。

販売金融、貸倒引当金、リマーケティング費用を含むその他項目は277億円の減益要因となりました。

以上の項目が営業利益を圧迫しました。

ビジネスeye

日産自動車の2025年3月期第1四半期の営業利益は、前年同期比で大幅に減少しました。主な要因は以下の通りです:

営業利益の減少要因

  • 営業利益は10億円となり、前年同期比99.2%減少しました。
  • この大幅な減益の主な要因は、競争激化に伴う販売費用の増加によるものです。

背景

  • グローバル全体需要は前年同期比3.8%増加し、2,056万台となりました。
  • しかし、日産グループのグローバル小売台数は前年同期比0.2%減少し、78万7千台にとどまりました。

日産自動車が売上を伸ばすためには、以下のような戦略が考えられます:

製品戦略の強化

  • 電気自動車(EV)ラインナップの拡充: 世界的な脱炭素化の流れに乗り、EVモデルを増やし、技術革新を進めることで競争力を高める。
  • 人気モデルのリニューアル: 既存の人気車種を適切にアップデートし、顧客ニーズに合わせた改良を行う。
  • 新セグメントへの参入: 成長が見込まれる新しい車両セグメントに参入し、市場シェアを拡大する。

マーケティング戦略の改善

  • ブランドイメージの刷新: 革新的で信頼性の高いブランドとしてのポジショニングを強化する。
  • デジタルマーケティングの強化: オンラインでの顧客接点を増やし、効果的なデジタル広告を展開する。
  • 顧客体験の向上: 販売店での体験やアフターサービスを改善し、顧客満足度を高める。

地域戦略の最適化

  • 成長市場への注力: 中国やインドなどの成長市場でのプレゼンスを強化する。
  • 地域別ニーズへの対応: 各市場の特性に合わせた車種や販売戦略を展開する。

効率化とコスト削減

  • 生産効率の向上: 生産プロセスの最適化やAI・ロボティクスの活用により、コストを削減する。
  • サプライチェーンの強化: 部品調達の効率化や多様化により、コスト削減とリスク分散を図る。

提携戦略の活用

  • アライアンスの強化: ルノーやミツビシとの提携を活かし、技術開発や調達でのシナジーを最大化する。
  • 新技術分野での協業: 自動運転やコネクテッドカー技術での他社との協業を進める。

これらの戦略を適切に組み合わせ、実行することで、日産自動車は売上を伸ばす可能性があります。ただし、市場環境や競合他社の動向を常に注視し、柔軟に戦略を調整していく必要があります。

今期の巻き返しを図る方法とは

2025年3月期第1四半期は、日産にとって非常に厳しい結果となりました。日産自動車CFO スティーブンマー氏によると、課題に対して明確な対策を打ち、新型車の投入を推し進めることで、業績を回復していきますと決算説明会でコメント。

米国では、「アルマーダ」「ムラーノ」、インフィニティ「QX80」を投入していき、欧州では、「キャシュカイ」「エクストレイル」「ジュークe-POWER」、中東では、新型 「パトロール」により、販売に勢いをつけていく方針とのことです。

日本では、「ノート」、「サクラ」、「セレナ」、「デイズ」に対する好調な需要が見込まれていて、日産としては、経営計画「TheArc」の実行に全力を注いでいく。

お客さまにワクワクするクルマをお届けし、市場投入までの期間を短縮することに注力し、生産のオペレーションもより効率的で機敏なものにしていくと説明しました。

残りの3Qでどこまで業績を巻き返してくるか、注目です。

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