DXやAIの普及、人的資本経営の拡大など、企業経営を取り巻く環境が激変する中、ビジネスの共通言語である「会計・ファイナンス」の重要性がかつてないほど高まっています。

「医師」「弁護士」と並ぶ三大国家資格のひとつである公認会計士は、今や監査業務にとどまらず、企業の成長や信頼性を支えるプロフェッショナルとしてその役割を大きく広げています。

こうした背景を受け、2025年11月21日(金)、公認会計士試験の合格発表当日に合わせてCPAエクセレントパートナーズ株式会社主催によるプレスラウンドテーブルが開催されました。

昨年度の試験において合格者占有率60%超という国内No.1の実績を誇る同社。

本イベントでは、令和7年(2025年)公認会計士試験の合格者数速報や、今年12月から適用される試験制度変更のポイント、そしてCPA会計学院がなぜ圧倒的な合格者を輩出し続けているのか、その理由と今後の展望について語られました。

公認会計士試験 合格者数速報:最年少は16歳、高校1年生での快挙

冒頭、CPAエクセレントパートナーズ取締役 共同創業者の⿑藤慶三氏より、本日発表されたばかりの令和7年公認会計士試験の合格者状況について報告が行われました。

(CPAエクセレントパートナーズ株式会社 取締役 共同創業者の⿑藤慶三氏)

今年の願書提出者数は22,056名。そのうち、最終関門である論文式試験の受験者は4,665名となり、合格者数は昨年の1,544名から92名増加し、1,636名となりました。

合格率は昨年同様の7.4%で推移しています。

合格者の内訳を見ると、女性の合格者は392名で全体の24%を占めています。

平均年齢は24.6歳、最高年齢は54歳でした。特筆すべきは最年少合格者で、なんと16歳(高校1年生)での合格者が出ているとのことです。

また、CPA会計学院としての実績についても速報値が発表されました。

合格発表直後の13時半時点での集計で、CPA会計学院からの合格者は1,038名となり、初めて1,000名の大台を突破しました。

最終的な確認を経た確定値としては、1,100名程度に達すると予想されています。

CPA会計学院 公認会計士試験 合格者数の推移
※2025年の合格者数は、11/21(⾦)の時点では受験番号のみの発表であり、現段階の「速報値」となります。
※2025年の合格者数「確定値」は、合格者の⽒名が11/25(⽕)に官報公告で掲載された後に確認作業を⾏い、11/26(⽔)にプレスリリースにて発表の予定です。

より実力が反映される試験へ:12月から適用されるバランス調整

続いて、2025年12月以降の試験から適用される「公認会計士試験のバランス調整」について解説がありました。

公認会計士試験は、マークシート方式の「短答式試験(予選)」と、記述式の「論文式試験(決勝)」の2段階で行われます。これまでは短答式の合格率が約12%、論文式が約35%という構成でした。

今回のバランス調整は、この合格率の歪みを是正するものです。

具体的には、短答式試験の合格者数を増やし、論文式試験の合格率を少し下げる方向で調整が行われます。

齊藤氏は、「マークシート方式にはどうしても運の要素が絡む一方、記述式の論文式試験は理解度が点数に反映されやすい」と指摘。この変更により、まぐれ当たりを減らし、しっかりと実力を持った人が最終合格できる試験制度へと進化していくとの見解を示しました。

なぜ今、高度な会計ファイナンス人材が求められるのか

続いて「今、公認会計士をはじめとする高度な会計ファイナンススキルを持つ人材がなぜこれほど求められているのか」というテーマについて、ゲスト登壇者である財務戦略アドバイザーの星直人氏がスピーチを行いました。

(財務戦略アドバイザー/⼀般社団法⼈インパクトスタートアップ協会 代表理事 星 直人氏)

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星 直人氏 プロフィール
元モルガン・スタンレー証券投資銀行本部にて約12年間、大型M&Aや資金調達に従事。その後、スタートアップ企業ユニファ株式会社のCFOとして累計約100億円の資金調達を実現。現在は一般社団法人インパクトスタートアップ協会 代表理事などを務め、企業の財務戦略を支援している。
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星氏は、日本企業の経営テーマが「PL(損益計算書)中心」から「BS(貸借対照表)およびキャッシュフローをベースとした企業価値向上」へと大きく転換していることを指摘。

その背景には以下の3つの要因があると語ります。

東証の市場改革: PBR1倍割れの是正や、資本コストを上回るリターン(ROIC等)の追求が上場企業のマスト要件となっている。

市場からの圧力: アクティビストや機関投資家との対話において、「エクイティストーリー(成長戦略)」を語るための共通言語としてファイナンスの重要性が高まっている。

金利のある世界への移行: 金利上昇局面において、どこに資産を投じてリターンを得るかという「キャピタルアロケーション」の戦略が不可欠になっている。

しかし、日本の従来の人材育成はPL管理に重きが置かれてきたため、市場の要請に応えられる会計ファイナンス人材が圧倒的に不足しています。

星氏は「このギャップを埋める人材育成が急務であり、CPAエクセレントパートナーズの役割は大きい」と強調しました。

公認会計士の魅力:独占業務を超えた「キャリアの多様性」

続いて、CPAエクセレントパートナーズ代表取締役の国見健介氏が登壇し、「公認会計士の魅力」について以下の4つの視点から語りました。

(CPAエクセレントパートナーズ株式会社 代表取締役社⻑ 国⾒健介氏)

キャリアの多様性:
監査・税務という独占業務に加え、CFO、IR、M&A担当、IPOコンサル、VC(ベンチャーキャピタル)など、活躍のフィールドが劇的に広がっている。実際に公認会計士の約半数は、監査法人以外の領域で活躍している。

事業での活躍(未来をつくる):
過去の情報を整理・保証する「経理・監査」だけでなく、その数値を使って未来の事業をどう拡大させるかという「事業側」での価値発揮が期待されている。

グローバルな共通言語:
会計・ファイナンスは、英語・ITと並ぶ世界共通のビジネス言語。日本企業が世界で戦うために不可欠なスキルセットである。

女性が活躍しやすい:
世界的に見れば公認会計士の半数以上が女性という国も多い。専門性が高く、リモートワーク等とも親和性が高いため、ライフイベントに合わせた柔軟な働き方が可能。

なぜCPA会計学院は「圧倒的No.1」なのか

公認会計士試験の合格者占有率が60%を超えるCPA会計学院。

25年前に「日本一いいスクールを作りたい」という想いで創業して以来、積み重ねてきた独自の強みについて国見代表が明かしました。

その秘訣は、徹底した「受講生ファースト」と「生涯支援」にあります。

質の高い教材や講師はもちろん、個別の質問体制や学習計画の策定サポート、さらには長時間学習でも疲れにくい椅子の導入やテキストの完全データ化など、学習環境の整備を一つひとつ積み重ねてきました。

さらに、最大の特徴は「合格して終わりではない」という点です。

卒業後も続くコミュニティやキャリア支援(生涯支援)により、OB・OGが「CPA出身で良かった」「後輩にもCPAを勧めたい」と感じるエコシステムが形成されています。

国見氏は「合格実績だけでなく、こうした口コミの広がりが今の結果に繋がっている」と分析します。

今後はAIを活用したパーソナライズ学習の強化や、合格後の活躍を見据えた「ソフトスキル(課題分析力や計画立案力など)」の育成にも注力していく方針です。

トークセッション:会計・ファイナンスは「万人の教養」へ

後半に行われた3名によるトークセッションでは、さらに深い議論が展開されました。

星氏は「会計・ファイナンスは一部の専門家だけのものではなく、四則演算さえできれば誰でも習得可能な、努力が報われるスキル」と強調。

国見氏もこれに同意し、スポーツ界(Bリーグ等)でのリテラシー向上施策を例に挙げ、「日本は簿記(仕訳技術)から入りがちだが、まずは『アカウンティング思考』から入ることで裾野を広げたい」と語りました。

また、「CFO不足」の話題では、日本企業が長らく間接金融中心だったため、財務職の地位が低かった歴史的背景が指摘されました。

しかし、現在はCEOへの登竜門としてCFOの重要性が増しており、星氏は「リスクを取って未来を作るファイナンス職の魅力をもっと伝えていきたい」と熱く語りました。

「キャリアとまなび研究所」の発足

最後に、同社が新たに立ち上げた「キャリアとまなび研究所」についての発表がありました。

アンケート調査の結果、転職やキャリアアップのために「学び直し」が必要だと感じている人は約65%に上る一方、実際に年間10万円以上の自己投資をしている人は少数派であるという「意識と行動のギャップ」が浮き彫りになりました。

同研究所では、こうしたデータを基に、会計ファイナンス人材に限らず、日本人のキャリア自律とリスキリングを支援するための発信を続けていくとしています。

今回のラウンドテーブルを通じて浮き彫りになったのは、公認会計士という資格が、単なる「監査の専門家」から「ビジネスの未来を創るリーダー」へとその本質を変えつつある現状です。

過去最高の合格者数を輩出した今回の試験結果は、そうした時代の変化を若者たちが敏感に感じ取っている証左ともいえるでしょう。

圧倒的な実績と生涯支援を掲げるCPAエクセレントパートナーズが、日本の会計ファイナンス人材の育成において、今後ますます重要なインフラとなっていくことは間違いなさそうです。

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