日本の学校給食と言えば、株式会社東洋食品がこの業界のリーディングカンパニーです。その株式会社東洋食品は、食品ロス削減の取り組みや地域のスポーツチームとの交流を通じて地域貢献に取り組んでいます。
学校給食業界のパイオニア株式会社東洋食品
1966年に創業した株式会社東洋食品(本社:東京都台東区、代表取締役:荻久保英男)は、日本の学校給食業界をリードし続けるパイオニア企業です。
小中学校の給食調理の民間委託が始まった直後から事業を展開し、現在では北海道から九州まで約4,000校の給食づくりを担い、業界トップのシェアを誇ります。
その中でも、給食事業を通じて、市内産農産物の支援と子どもたちの食育推進に取り組んでいます。
この取り組みは、長野市や地元農家、JA(農業協同組合)との連携を軸に、災害による被害を受けた農産物の有効活用や、スポーツチームとの交流を通じて子どもたちに特別な体験を提供するという先進的な取組内容です。
【復興りんご】を給食に活用! 災害を乗り越える地域連携の力
2019年の台風19号で大きな被害を受けた長野市のリンゴ農家。また、毎年のように襲う雹害や凍霜害があり、長野市から「なんとか農家さんたちを助けてほしい」と相談を受け、東洋食品の調理員らが考案したのが「ヨーグルト和え」です。
通常、規格外のリンゴはジャムに加工されることが多いですが、調理員たちが一玉ずつ傷んだ部分を手作業で取り除き、食感が残るように工夫し、ヨーグルトにトッピングする形で提供。
その数、7,000食分。リンゴ農家や自治体から大きな感謝の声が寄せられました。
栄養満点の地元穀物「ソルガム」 子どもたちに親しみやすい給食へ

長野市では、市内産の穀物「ソルガム」を給食に活用する取り組みも進行中です。
ソルガムはイネ科の一年生作物で、「モロコシ」「タカキビ」などとも呼ばれ、ポリフェノールやGABA(ギャバ)を豊富に含む栄養価の高い食材です。
しかし、そのままでは子どもたちにとって食べづらいことが課題でした。そこで、東洋食品の調理員らは、ソルガムをミネストローネやキーマカレーに取り入れ、子どもたちに親しみやすいメニューへと生まれ変わらせました。
その結果、子どもたちにも大人気となり、地元農家や自治体からも高く評価されています。
ジビエ給食 命の大切さと地域課題の解決
全国的に問題となっているニホンジカによる農作物被害。長野市では、この課題解決の一環として、市営ジビエ加工センターで処理されたシカ肉を学校給食に取り入れています。
ジビエは「臭みが強い」「食べづらい」といったイメ ージを持たれがちですが、東洋食品は調理方法の検討や新メニューの試作に協力し、子どもたちがおいしく食べられる献立を開発しました。

「ジビエキーマカレー」「ジビエのボロネーゼ」「メンチカツ」などが人気メニューとなり、ジビエは子どもたちに親しまれる食材となっています。
東洋食品は、自治体と連携しながらジビエの普及と地域産業の活性化にも貢献しています。
プロサッカーチームとの交流給食 子どもたちの笑顔を広げる工夫

長野市第二学校給食センターでは、地元のプロサッカーチームが学校を訪問し、子どもたちと一緒に特別給食を楽しむ交流イベントも実施。
栄養教諭等と連携し、ニンジンをサッカーボールの形に飾り切り、チームカラーのオレンジを活かしたデザインに仕上げました。
実際の給食では、「ラッキーキャロット」として、1クラスに数枚ずつ配食。
教室では、サッカー選手らとともに、普段はニンジンが苦手な子どもたちも大変盛り上がり、楽しみながら食べる様子が見られました。
顔の見える調理場 食育とコミュニケーション

東洋食品では、長野市第二学校給食センターの調理の様子を間近で見られる「見学スペース」を活かし、子どもたちや保護者が訪問した際は、実際の調理道具を用いた説明を行っています。
また、大きな見学窓を通して、調理員からメッセージを送ったり、子どもたちが作業の様子を見守ったりすることで、給食づくりに関心を持ってもらうきっかけとなっています。
また、子どもたちが実際に参加できる「飾り切り体験」や、東洋食品の調理員がデザインしたイラストを転写したコロッケの提供といったユニークな取り組みも実施。
さらに、PTA の見学、教職員や保護者への食育活動を行っています。
こうした活動は、子どもたちと給食との距離を縮めるだけでなく、地域の方々に食への関心を持ってもらう大切な役割を果たしています。
子どもたちの健やかな成長を支える食育の使命
子どもの頃に培った食習慣は、一生の基盤となります。
私たちは、地産地消の推進、食品ロスの削減、食を通じたコミュニケーションの促進といった付加価値を高めることで、単なる給食提供にとどまらず、食育の大切さを子どもたちに伝え、地域社会への貢献を果たしていきます。
長野は、豊かな自然と澄んだ空気に恵まれた土地です。この地で育まれた食材を活かした給食が、おいしくないはずがありません。
私たちは、地域資源を最大限に活用しながら、これからも子どもたちに「食べる喜び」を届ける給食づくりに邁進してまいります。
『第19回全国学校給食甲子園』で優秀賞を受賞
2024年12月8日(日)に開催された『第19回全国学校給食甲子園』決勝大会において、東洋食品が受託する「岩手県遠野市学校給食センター」「千葉県旭市第一学校給食センター」「茨城県石岡市立八郷学校給食センター」の3施設が優秀賞を受賞しました。
この大会は、エントリーがあった全国1,051校の学校給食関係者が、地域特有の食材や献立を通じて技術やアイデアを競い合う場であり、東洋食品の取り組みが高く評価された結果となりました。今後の励みとして、一層精進してまいる所存です。
【会社概要】
名称 : 株式会社東洋食品
住所 : 〒110-0015 東京都台東区東上野1-14-4野村不動産上野ビル4F
代表取締役 : 荻久保英男
事業内容 : 学校給食事業(「調理業務受託事業」・「PFI・DBO事業」)
URL : https://www.toyo-foods.com/
ビジネスeye
株式会社東洋食品の概要
株式会社東洋食品は、主に学校給食の調理受託事業を手掛ける企業で、日本国内における学校給食業界の最大手です。
1966年(昭和41年)に創業され、半世紀以上にわたり、子どもたちに安全・安心でおいしい給食を提供し続けています。
事業内容と強み
- 学校給食の調理業務受託
- PFI・DBO事業(官民連携による学校給食センターの運営等)
東洋食品は全国43都道府県で3,870校の給食調理を担い、1日あたり約139万~142万食を提供しています。これは日本の小・中学生の6人に1人が東洋食品の給食を食べている計算です。
同社の最大の特徴は、創業以来一度も食中毒事故を起こしていない徹底した衛生管理体制です。元保健所職員を約30名採用し、「衛生部」という独立部署を設けて、年2~3回の全営業所モニタリングや38項目に及ぶ衛生巡回指導を実施しています。
企業理念・社是
- 「信頼」をモットーに、公共性の高い学校給食事業を通じて子どもたちの成長と健康に貢献することを理念としています。
- 時代やニーズの変化にも柔軟に対応し、長期的視点で事業を育てる姿勢を重視しています。
沿革
年 | 出来事 |
1966年 | 創業 |
1967年 | 学生食堂業務受託開始 |
1986年 | 学校給食業務受託開始 |
2002年 | 全国展開開始 |
2005年 | 学校給食センターPFI事業運営業務受託開始 |
2013年 | 学校給食専門会社となる(ヘルスケア事業を分社) |
経営・組織
- 本社:東京都台東区東上野1-14-4
- 代表者:荻久保 英男(2025年時点)、専務取締役に荻久保瑞穂氏(創業家3代目)
- 全国で多くの調理師・栄養士・調理補助スタッフを雇用し、安定した経営基盤と成長性を持つ企業です。
働き方・職場環境
- 完全週休2日制(土日祝日休み)、残業ほぼなし
- 春・夏・冬の長期休暇取得可能
- ワークライフバランスに配慮した職場環境
- 未経験者でも安心して働ける教育体制
その他の特徴
- 景気に左右されない安定企業であり、ここ10年間で売上が2倍に成長
- コロナ禍を経て事業の多角化も進めている
まとめ
株式会社東洋食品は、学校給食分野で国内最大級の実績と信頼を持ち、徹底した衛生管理と公共性の高い事業を通じて社会に貢献している企業です。
今後も子どもたちの健康と成長を支えつつ、事業の多角化や働きやすい環境づくりに取り組んでいます。