
台湾、シンガポールなどのアジア太平洋圏に事業拠点を持つAI マルチメディアテクノロジーグループKKCompany Technologies の日本法人KKCompanyJapan合同会社は、会議やイベントなどでのコミュニケーションをサポートするAI対応の新サービス『リアルタイムAIアシスト』の提供を4月23日(水)より開始した。これに伴い同日、KKCompany本社(東京都渋谷)にてメディア向け説明会が実施された。
企業のAI活用の推進に取り組むKKCompany

はじめにKKCompany Japan 合同会社 日本統括代表 トニー・マツハシ氏より、KKCompanyの事業内容やAI活用の推進に向けた取り組みについて説明が行われた。

KKCompany は1999年の創業以来、最先端のIT/メディアテクノロジー、クラウドや AI 技術を活用し、音楽配信事業「KKBOX」、動画・ライブ配信ソリューション「BlendVision」を展開するマルチメディア事業、さらにクラウド・AI による DX 推進事業と、多様なビジネスをワールドワイドに展開。
テレビ朝日公式コンテンツサイト「TELASA」やJ:COMインターネット動画配信サービス「J:COMオンデマンド」など、2016年から放送業界やOTT業界(ネット利用やコンテンツ配信業界)、特に数百万人規模の動画配信を生業としている大手配信事業者等、仕様要求レベルが高い事業者向けに極めて高いSLA(サービスレベル)水準で、動画配信ソリューションをカスタムメイド仕様にて構築・提供。そのビッグデータにより、精度の高いレコメンドエンジン構築や様々な動画処理のためのAI活用として、法人向け動画共有・配信プラットフォーム「BlendVisionOne」を2023年6月にリリース。
さらに、2024年4月より、同社が持つ動画技術と AI 活用技術を融合させた マルチメディア対応AIプラットフォーム「BlendVision AiM(ブレンドビジョン・エイム)」を提供し、企業・教育機関・官公庁における「マルチメディア + AI」活用によるコミュニケーション活性化、業務効率化、働き方変革を促進してきた。
AI活用の課題からアプローチした新サービスの開発

KKCompanyは企業のAI活用に向けた取り組みを進める中、まだ多くの企業においてAI活用が浸透できていないという課題が見えてきた。
実際に「大企業における生成AI活用の実態調査(情報元:テックタッチ株式会社)」によると、50~85%の大企業においてAI活用の度合いは低く、約80%がAI活用に関して課題を感じているということがわかった。
AI活用における障壁の原因は、①人材不足や組織未対応②データ未整備③技術・システム化などの課題が挙げられた。

これに対しKKCompanyは、「技術・システム化のための知見・ノウハウ向上」と「人・組織の育成、UI(操作画面など使い勝手)簡素化」の大きく2つの視点からアプローチ。
今回提供を開始した『リアルタイムAIアシスト』は、まさにこの「人・組織の育成、UI簡素化」に着目して開発がスタートしたもので、目的特化型とすることでUIを洗練、シンプル化したSaaS型AIプラットフォームに仕上げた。
新サービス『リアルタイムAIアシスト』

ここで、今回提供を開始した『リアルタイムAIアシスト』について、KKCompany Japan 合同会社 Product Sales シニアアカウントエグゼクティブ 田村健氏より説明が行われた。
これまでの社内・社外の会議や国際会議などのコミュニケーションにおける様々な課題
・スピーカーや質問者の発表や説明が冗長で何を言いたいかよく分からない
・会議やイベントの時間が長く参加者の集中力が続かず、最初の内容を忘れてしまう
・途中から参加した場合に、それまでの発言内容や話の流れがわからない
・参加者の議論に対する前提知識が低く、話した内容だけだと理解できない
・質問の意図が不明確で適切な回答ができない
・一度に複数の質問がなされ、最初の質問を失念してしまう
・想定外の質問の際、関連資料を探すのに時間がかかり正確な回答ができない
・国際会議では言語の壁もあり、円滑なコミュニケーションが阻まれる
このような場面でAI が的確に会議、イベントをリアルタイムでアシストできるように開発されたのが、『リアルタイムAIアシスト』。
これにより、会議の効率化、発表・議論の質向上、参加者の理解促進、より円滑なグローバル情報共有などを通じて、参加者のエンゲージメントの強化が可能となる。
『リアルタイムAIアシスト』の6つの機能
リアルタイム文字起こし・リアルタイム要約
発言内容をリアルタイムで文字起こし、さらに文字起こしした発言内容ごとに瞬時に要約。
これによりプレゼンテーターや参加者がリアルタイムで簡単に内容を理解することが可能に。
「えーっと」などフィラーと呼ばれる意味の持たないつなぎ言葉は反映されないようになっている。
要約に基づいた関連資料 (PDF、Word)の自動抽出・提案
リアルタイム文字起こし・要約にもとづいて、AI が質問者の意図を的確に把握、回答に必要な関連資料を提示。
これにより回答者は素早く、かつ正確な回答をすることが可能となる。
リアルタイム翻訳(日・英・中)
リアルタイム文字起こしと同じタイミングで AI が翻訳。発言、質問内容を正しく理解し、参加者全員がより正しく内容を理解することが可能。(現段階は日・英・中の3か国語。今後他の言語も順次追加予定とのこと)。
話者分離・話者フィルター機能
発言ごとの話者を認識し、誰が何を話しているか瞬時に把握できる。
また特定の話者のみでフィルタリング可能なため、重要な発言者の発言内容のみをピックアップして確認することも可能に。
辞書機能
業界専門用語、社内用語をあらかじめ登録しておくことで、文字起こし、要約、翻訳の精度を向上。
議事録ダウンロード
会議、イベント終了後に文字起こし、要約、翻訳のテキスト出力が可能。
これにより正式な議事録や報告書を作成することができる。
またダウンロードしたテキストは次回以降の会議、イベントでの参考資料として再活用することが可能となり、過去の発言の確認、整合性をとることができる。

『リアルタイムAIアシスト』画面イメージ
※このイメージはブラウザが2画面並んでいる状態
SUBARUとの実証実験を実施
今回のサービス提供にあたり、株式会社SUBARUとの実証実験が行われた。
SUBARUから寄せられた様々な機能への要望を製品開発に反映し、『リアルタイムAIアシスト』の機能強化を実現。
株式会社SUBARU 広報部 技術広報グループ 主査 小池 康一氏は「会議などで生じているリアルな課題を解決し、参加者間のエンゲージメントを強めるために KKCompany 社に御尽力頂きました。
『リアルタイムAIアシスト』はAIの活用範囲を広げた新たなサービスであり、弊社は実証実験を通じ、その機能品質の改善に協力させて頂きました。
『リアルタイムAIアシスト』は様々なコミュニケーションの場での活用が期待出来るサービスだと考えます」とコメントしている。
説明会ではデモンストレーションも行われた。リアルタイムに文字起こし、要約、翻訳と、関連資料のページが関連度合いをパーセンテージで表示され、使いやすさや見やすさも特化した仕様であると感じた。
『リアルタイムAIアシスト』は、AI活用はハードルが高いと感じていた人にもシンプルで使いやすく、会議やイベント以外にも、学生に向けた企業説明会やコールセンターの問い合わせ対応などにも活用可能。きっと頼れるパートナーのような存在となるはずだ。
■『リアルタイムAIアシスト』 概要
機能:AI による社内・社外の会議、国際会議などのイベント参加者のエンゲージメントを AI でサポートする機能。
リアルタイムでの文字起こし・要約、要約に基づいた関連資料 (PDF、Word)の自動抽出、同時翻訳(日・英・中)、話者分離・話者フィルター、辞書機能、議事録ダウンロード
価格:月額15万円(税別)~(初期費用無料 年間契約)
想定活用シーン:社内・社外の会議、全社会議や国際会議などのイベント。また会議、イベント以外にもコールセンター業務など様々な活用が可能。