ビジネスシーンでの利用が増えているAIですが、今後のAIの活用についての懇談会が行われました。

どのようにAIを活用してビジネスを拡大していくのか、どの企業でも興味を持つ部分についてのセッションには注目が集まりました。

林先生ことタレントの林修がブランドアンバサダーを務める法人向けSaaS型サービス「BlendVision AiM(ブレンドビジョン・エイム)」を提供するKKCompany Japanが、2月21日にメディア向けラウンドテーブルを開催。

「従業員・チーム向けマルチメディア対応AIアシスト・ポータル」として全面リニューアルした同サービスの機能、進化のポイントのほか、具体的な活用例などが紹介されました。

ここでは当日語られた内容をもとにしながら、組織のコミュニケーション活性化や業務効率化に資する同サービスの魅力をお伝えしていきます。

知識ゼロでもAIをもっと使ってみようと思えるプロダクトを

日本、台湾、マレーシアなどアジア太平洋圏に拠点を擁するグローバルテクノロジー企業・KKCompany  Technologiesの日本法人である同社が提供する「BlendVision AiM」。

東京・渋谷の同社で行われたこの日のラウンドテーブルでは、まず初めに同社代表のトニー・マツハシ氏が登壇し、「企業におけるAI活用の推進に向けたKKConpanyの取り組み」というテーマで講話が行われました。

「日進月歩で進化が進むAIの活用において、『AIを使いこなすこと』は企業の目的ではありません。多くの企業は、売り上げや企業価値を上げたい、株式を上場したいなど、さまざまな戦略的ゴールがある中、その一助としてAIを活用したいと考えています。

我々はそうした企業や組織の皆さんに寄り添いながら、お客様とAIの間に立って、AIをどう活用したらいいのかということに日々取り組んでいます」

「BlendVision AiM」とは

そう初めに述べた同氏は、音楽配信事業、B2B向けマルチメディア/AI事業、クラウド/AI DX推進事業を3つの柱とする同社の事業説明や企業のAI活用例について述べた後、今回の主題であり、今年1月に全面リニューアルした「BlendVision AiM」を紹介。

「名前を変え、別のプロダクトとしてお届けしてもいいんじゃないかと思うくらい、さらに良いサービスになりました」と自信を見せつつ、「いかにAIリテラシーが高くなくても、能動的にAI指示出しができなくても簡単に取り組めて、AIをもっと使ってみようと思えるようなプロダクトです」とPRしました。

企業の動画利用拡大に対応した大幅リニューアル

後半は同社・Product Salesシニアアカウントエグゼクティブの三木芽以子氏から、新しい「BlendVision AiM」の進化について具体的な解説がありました。

昨年4月のローンチ後初の大幅リニューアルとなった「BlendVision AiM」は、従来の「法人向けマルチメディア対応AIプラットフォーム」から「従業員・チーム向けマルチメディア対応AIアシスト・ポータル」へコンセプトを変更。AIチャットボット中心だった前バージョンからの進化のポイントとして紹介されたのは次の5点です。

ポイント

⚫︎AI活用技術の進化

⚫︎UIの進化

⚫︎スマート・ミーティング機能の拡充(会議の有効活用をAIがサポート)

⚫︎スマート・ラーニング機能の拡充(研修動画・マニュアル動画など大量コンテンツの有効活用をAIがサポート)

⚫︎ユーザーごとの月額料金体系への変更

今回これらのリニューアルを行った大きな背景として、三木氏は「企業における動画活用の広がり」を強調しながら次のように述べました。

「BtoCの領域でSNS等を通じた動画の活用が広がっている中、ビジネス領域でも意外と意識していないところで動画の活用が増えています。

社内のコミュニケーションでは業務マニュアルやeラーニングに動画の活用が活発化していますし、外部とのコミュニケーションでもオンライン会議やセミナー、あるいは商品やサービス説明におけるマーケティング面などに動画が多く使われています。

しかし、動画コンテンツには大量の情報の中から自分の欲しいと思う情報を見つけるのが難しいというデメリットもあります。例えば、会議の録画を取りまとめにたくさんの時間やリソースがかかるため、うまく活用ができないというお悩みを抱える企業が多くいらっしゃいます。そうした課題に対応するのが新しい『BlendVision AiM』です」

動画からマルチモーダルでタグ、シーン分割を自動生成

その上で、今回の具体的進化の最も大きな機能として同氏は「AIによる動画を含むマルチメディアコンテンツの探索・情報抽出」をピックアップ。

こちらはポータル上にアップした動画データをAIが自動的に分析し、情報を抽出してくれるというもの。自動文字起こしのほか、タグ付け、シーン分割も自動で行ってくれるので、必要な情報の検索やおおよその内容理解が容易に可能です。

動画分析は音声、画像、テキストなど複数データを組み合わせたマルチモーダルで行われ、この日は本サービスを導入している予備校の動画を用い、講師が読み上げていない板書の内容まで文字データに解析される例が紹介されました。

動画をAIが分析

「動画の内容をAIが分析して、まずはシーンに分割します。例えばセミナーの動画の場合、冒頭の会社紹介から始まってアジェンダが切り替わっていくのに応じてシーンを分割します。そして、その分割した内容に対してタイトルを生成しクリップごとの要約の生成も実行。さらに全体のキーワードにあたる言葉をタグとして生成して、クリップごとにタグ付けするという機能もあります。この3つの機能を組み合わせていただくことで効率的な活用を実現しています」(三木氏)

AIによって情報抽出された動画データはポータル上で一元管理されるので従業員間やチームでの情報共有が可能になるほか、閲覧者に合わせたリコメンド機能も。つまり面倒な動画の整理をAIに“丸投げ”できるという機能で、その実用例も紹介されました。

数々の大手企業が業務効率化や省人化を実現

その後は、同じくリニューアルの大きなポイントである「スマート・ミーティング機能」と「スマート・ラーニング機能」について、実際の活用例を交えた利用シーンの解説が。

前者については、決算発表会や株主総会の質疑応答にリアルタイムAIアシスト機能を用いて質問内容の要約と回答の補助に役立てている自動車メーカーの例など、後者についてはスタッフ教育や業務引き継ぎに動画のAIアシストを活用し、対応時間を約6割削減したコールセンター企業の例などが紹介されました。

終盤には、同社が技術協力しているテレ東BIZの番組『LIFE IS MONEY 特別版 林会議』の例など、メディア系企業における「スマートメディア」の利用シーンについての解説も。

まとめ

そして「会議録画やさまざまな動画の内容を取りこぼさない精度、豊富な情報量」「AIに馴染みがなくとも十分にAIを活用できる柔軟性、AIリテラシーやAI筋力が不十分であっても、すぐに馴染め、従業員のAIへの慣れ親しみや取り組みを後押し」「単一の動画ファイルのみならず、複数・大量の動画を跨いだ横断的なAI分析」という3点をまとめとして全体のプログラムが終了した。

会議の効率化や社内リスキリング、あるいは円滑な社外コミュニケーションにおいて、今後ますます広がることは間違いない動画活用。

動画編集というこれまでにないタスクに対し「どうやればいい?」とか「誰に任せればいい?」と頭を抱えている企業や組織は意外と少なくないはず。そうした人々にとって「BlendVision AiM」は、AIの世界からやってきた心強い救世主になるかも。

【「BlendVision AiM」公式ホームページ】

AiM

ビジネスeye

2025年現在、AIのビジネス利用は急速に拡大しており、多くの企業がAIを重要な投資分野と位置付けています。

AIの導入状況

  • 約6割の企業が生成AIを利用しています。
  • 3社に1社が2,500万ドル超をAIへの投資として計画しています。
  • 日本企業では約半数が2,500万ドル超の投資を予定しており、これは調査対象国の中で最も高い割合です。

業種別の導入状況

  • 金融業・保険業では97.2%、製造業等では77.0%の企業がDXに取り組んでおり、AIの活用も進んでいます。
  • サービス業では60.1%とやや低く、業種による差が見られます。
  • 製造業、金融・保険、その他サービス業でAIの実際の利用率が高くなっています。

利用部門と用途

  • システム開発・ITサポート部門での利用が最も多くなっています。
  • 現状では、挨拶文や記事の作成が中心ですが、今後はドキュメントの要約、マニュアル・議事録の作成、プログラムコードの作成、広告制作への拡大が見込まれています。

課題と展望

  • 人材のアップスキリングが追いついていないことが課題として浮き彫りになっています。
  • 自律型AIの出現により、テクノロジー開発、顧客体験、物理世界、グローバルな労働力の再構築に向けて企業が進む方向性が示されています。

AIのビジネス利用は着実に進展しており、特に大企業や特定の業種で導入が進んでいます。今後は、より多くの業種や中小企業へのAI導入拡大が期待されます。

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