
株式会社博報堂のシンクタンク「博報堂100年生活者研究所」は4月22日、東京都豊島区巣鴨の「Sei-katsu-sha Cafe かたりば」にて、昭和100年特別企画「これまでの幸せこれからの幸せ展」に関する記者発表会を開催した。
昭和100年特別企画「これまでの幸せこれからの幸せ展」
同展は昭和の日(4月29日)に合わせて企画され、4月23日から同カフェにて一般公開される。
博報堂100年生活者研究所は、生活者の声をもとに産官学メディア連携で新たな価値を創造するリビングラボ型の研究所だ。
巣鴨のカフェ「かたりば」をリアルラボ、LINE上に開設したオンラインラボの2つの拠点で、これまで延べ2,000名以上のインタビューや1万4,000名規模のアンケート調査などを実施してきた。
発表会では、まず研究所の活動概要と主な調査データが紹介された。人生100年時代における“100歳まで生きたいか”という問いへの肯定的回答は、設立当初からほぼ横ばいの約28%にとどまっている。
6カ国比較調査では、日本は平均寿命が最も長いにも関わらず、希望寿命は平均寿命を下回り、100歳まで生きることに対するポジティブなイメージが低いことが明らかになった。
これらの課題に対し、研究所では産官学メディアと連携した様々な取り組みを展開。
タカラトミーとの共創で「100年人生ゲーム」を開発・発売、カンテレと共同で人生100年時代のウェルビーイングをテーマにしたTV番組「笑ライブ」を制作、東京大学大学院でウェルビーイングマーケティング講座を開講するなど、多岐にわたる活動を展開している。

「100年人生ゲーム」は発売後、あっという間に完売した。
コラボ企画「生き様ポートレート」の3つのコンテンツ
今回の特別企画展では、(1)昭和100年の幸福度年表、(2)これまでの100年これからの100年AI動画、(3)写真家エドワード・ポール氏とのコラボ企画「生き様ポートレート」の3つのコンテンツが展示される。
幸福度年表は、1920年代から現在までの幸福度推移を7つの価値観(家族の繋がり、仕事、経済的な安定、自分らしさ、多様性、柔軟な働き方、健康的な生活)の重視度の変化と併せて年表形式で可視化したもの。
幸福度は第二次世界大戦後に上昇し80年代にピークを迎えた後、下降傾向にある。また、仕事や経済的安定と幸福度の相関関係が強いことが示唆された。

AI動画で見る過去と未来
AI動画は、過去100年と未来100年の出来事を、生成AIを活用して100秒ずつにまとめたもの。
7つの視点(働き方、お金、娯楽、生きがい、ファッション、人間関係、健康)から時代を捉え、過去は「解」の時代、未来は「創」の時代と定義。
技術進化の方向性、価値観の多様化、経済成長なき幸福の実現、幸福度向上の鍵を探るための考察材料として制作された。

AI動画は外部の制作会社に依頼せず、すべて研究所のスタッフとプログラマーだけで制作したという。
発表会でも上映されたが、かなりクオリティは高く、ぱっと見にはAI動画とは思えないほどだった。
生き様ポートレートは、カフェ「かたりば」の常連客を被写体に写真家エドワード・ポール氏が撮影したポートレート。
エドワード氏の「100Wプロジェクト」(激動の昭和を生き抜いた女性を撮影するプロジェクト)とのコラボレーション企画として実現した。

その人について語られた文章がバストアップ写真の横に添えられることで、これまで歩んできた人生や人となりがよく伝わる「生き様ポートレート」。

博報堂100年生活者研究所 所長の大高香世さん(左)と副所長の田中 卓さん。
博報堂100年生活者研究所の大高所長と田中副所長による対談
発表会後半では博報堂100年生活者研究所の大高所長と田中副所長による対談が行われ、昭和100年の振り返りが未来の幸福に与える影響や、AIが幸福度に与える影響について議論が交わされ、長期的な視点で人生や幸福を考えることの重要性、AIとの適切な付き合い方、個々人が自身の幸せを定義することの必要性などが強調された。

熱く議論を交わす大高所長と田中副所長。

大高所長は最後に、「人生100年時代を自分事として捉え、変化する社会や幸せの姿を多くの人と共有し、様々な幸せを実現できる社会を築いていきたい」と締めくくった。
期間限定で「昭和プリンパフェ」を販売中

博報堂100年生活者研究所がリアルラボとして運営している巣鴨のカフェ「かたりば」では、期間限定で「昭和プリンパフェ」を販売中。
通常メニューとして人気の昔懐かしい硬めのプリンを使用し、昭和をイメージしたプリンを食べ進めると、その下には未来をイメージしたカラフルなアイスが。
カフェ「かたりば」には何度か足を運んだことがあるが、今回久しぶりに訪れてみて、イメージがだいぶん変わったことに驚いた。
それはおそらく、カウンター前に大きく貼り出された昭和100年幸福度年表のインパクトが大きく関係しているのかもしれないが、研究所の活動内容もAIを導入したりと、さらなるバージョンアップが図られていると感じさせられた。
そんな最新技術も盛り込んで開催される昭和100年特別企画「これまでの幸せこれからの幸せ展」は、人生100年時代における幸福について、過去から未来への連続性の中で捉え直す貴重な機会を提供するだろう。
「かたりば」は、とげぬき地蔵尊のすぐ近くにあるので、巣鴨で参拝の際に足を運んでみてはいかが。